2011年

6月

06日

理系女子の生き方  理系女子Books Café @つくば レポート その5

3月に行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介する最終回です。

 

筑波大学の生物学類は、約半数が女子で、理系の中では女性比率が高い方です。ですから、大学に入ってから「リケジョ」として特別なことを感じることはほとんどないそうです。

しかし、山口さんがおっしゃっていたのですが、大学院までは女性も多いが、女性は大学院卒業すると研究者にならないことが多く、卒業すると「リケジョ」の孤独を感じてしまうそうです。筑波大学の生物系では、女性の教員は全教員 60 人中2人しかいません。 アカデミックの分野では、未だ身近にあまりロールモデルがないような状況で、大学院生だった山口さんは、学会などで女性の研究者の方にお会いすることがあれば積極的に話しかけてお話を聞くようにしているそうです。

ですから、リケジョプロジェクトについても、「先輩リケジョ」って先輩にしかなれないんですか?と訊かれました。中高生でなく、自分たちも、理系の女性から教えてもらいたいとおっしゃっていました。そういう意味でも理系女子Café、、がんばりたいです。

 

また、子育てと研究についてもお伺いしてみました。

 

島田さんは、3歳のお子さんがいらっしゃって、平日8時から18時まで保育園に預けているそうです。週末は、大学の規定の勤務体制ではお休みということになるので保育園には預けられないのですが、現場の研究者は土日祝日関係なく働かなければならない時もあるので、子供同伴で研究室に行ったり、地域のファミリーサポートを利用したりベビーシッターさんを個人で雇って対応しているそうです。

 

島田さんや山口さんが採用されている日本学術振興会の特別研究員には最大1年間の産休/育休制度があります。研究職の中には、研究費の予算執行期限が限られているために研究員が十分な産休/育休をとれないものもあるそうで、研究と育児を両立していくためには産休/育休制度が確保できる職を得ることが重要です。お二方は研究も続けたい!子供も産み育てたい!と両方の願いを叶えるために(欲張り?)、数年前から計画してきた道を着実に歩んでいらっしゃいます。この人生設計の緻密さも、リケジョではないでしょうか。子育てと研究や仕事の両立させるためには、パートナーの理解と協力は一番ですが、やはり、人生設計というのも大事なんだなと感じた次第です。

「理系の女の生き方ガイド」宇野 賀津子(著) 坂東 昌子 (著) (ブルーバックス:講談社)
「理系の女の生き方ガイド」宇野 賀津子(著) 坂東 昌子 (著) (ブルーバックス:講談社)

 

理系女子の100冊でも推薦されている講談社のブルーバックス「理系の女の生き方ガイド」は女性研究者の黎明期を乗り切った武勇伝とも呼べるもので、理系女子のロールモデルが未だ少ない中で、「リケジョのバイブル」として結構皆さんに読まれています。

 

島田さんは、この本を大学生の時に読んで、研究も子育ても自分の考え次第で乗り切れるという柔軟性を学んだそうです。旦那の転勤、子供の急病、両親の介護、天災人災等々、人生何があるかわかりません。時には大好きな研究をやめなければならないかもしれないけれど、理系ならその時々に応じた選択肢の幅が広がります。尾嶋さんはまさにそうで、家族を大事にしながら、日本でもアメリカでもいろんなことにチャレンジして自分の輝ける道を常に模索しています。

 

 

島田さんや山口さんのように、若手の研究者として、母として、妻として、毎日輝いている方は全国に大勢いらっしゃることと思います。平成版の「理系の女の生き方ガイド」もあってもいいんじゃないですか~、講談社さん~。

長々とブログに失礼しました。どの先輩方のお言葉も貴重で、割愛するのがもったいなくてこんな形になってしまいました。

 

少しでも、中高生のみなさんの参考になれば幸いです。

 

 

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2011年

5月

30日

理系女子の生き方  理系女子Books Café@つくば レポート その4

筑波で行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介する第4弾です。今回は、学生さんのお二人をご紹介します。

 

4人目は、國分さんです。國分さんは、生命環境科学研究科生命共存科学専攻のD1(博士課程1年生)で、ご専門は環境藻類学。バイオ燃料産生に向けて、主にオイルを産生する藻類を対象として研究されています。原発問題もあり、我が国のエネルギー問題については議論されているところでありますが、最近、注目されている研究分野だそうです。

國分さんも、東京の某名門女子校の出身で、大学はエスカレーター式に系列大学に進みましたが、どうしても研究が続けたいということと、親元を離れてみたい!という東京に実家のある女子の共通の願い(?)もあって筑波大学の大学院に進学されたそうです。

もともと、生き物は好きで漠然と生物やってもいいかもくらいには思っていたそうですが、中学生高校生から絶対にリケジョに!といったつもりはあまりなかったそうです。ただ、高校の生物授業の「実験」で、生物のおもしろさ、不思議さを知り、また、特に実験を指導している先生ご自身が楽しそうに生き生きとしてらっしゃるのを見て、先生をそうさせる「生物」という学問をもっと知りたくなり、その方向に進学することにしたのです。ここが一つのリケジョポイントですね。学校の先生の授業や実験がおもしろくて、その教科を専門にする。これも一つの出会い方ですよね。

しかし、その時は、動物系をやるつもりだったそうで、藻類をやるとは夢にもおもっていなかったそうです。「藻」との出会いは、大学での実験だそうです。ミカヅキモの実験だったそうですが、それがすごくおもしろくて、、、動物のことを忘れて、卒業研究は絶対にこれをやりたい!と思い、最終的には「藻」の研究を目指すこととなったそうです。まさに一期一会だとおっしゃっていました。これが二つめのリケジョポイントですね。大学に入ってみたら、興味が変わる、、、こんなことも全然アリ!です。

すベてがFになる 森 博嗣 著 (講談社文庫)
すベてがFになる 森 博嗣 著 (講談社文庫)

博士課程進学に当っては、お母さんの大反対があったそうです。修士までは行くべきと応援してくれていたそうですが、博士となると、國分さんは特に一人っ子なので、頼るものはないし、親は先に死ぬんだから、自分が得るものがないと将来が心配、と反対されたそうです(前回ご紹介した山口さんも、実学でないものを学ぶことに対して、親の理解を得るのが難しかったとおっしゃっていました)。國分さんは、全くその通りだとは思ったそうですが、納得がいかないまま就職してもその仕事が好きになれないし、これは自分の人生だから、自分が後悔しない様にしたいと思い、お母さんを説得し続けました。最終的には、中高の教育免許を持っているので、どうしてもだめなら教員になるということにして、説得に成功されたそうです。う~ん、この信念の強さ、、、これもリケジョ魂ですよね。実際に、4月からは高校で非常勤として教壇にも立つそうです。親を安心させつつ、、、一方で、やはり自分が生物に進むきっかけが、高校の先生との

                      出会いだったので、それを自分も今の高校生に伝えたい
                      という思いもあるそうです。

そんな國分さんのお勧め本は、「すベてがFになる」です。ミステリーなのですが、犀川助教授を中心とした物語であるため、國分さんが、大学の研究室について初めて知った本だそうです。院生室でこのような話をしているとか、夜中ずっと引きこもって研究しているとかがわかり、大学の研究室のイメージがこの本でわかったそうです。森博嗣は某国立大学の工学部の助教授だったこともあり、エッセイなどもおもしろくお勧めだそうです。

また、森博嗣の作品には、様々な分野の魅力的なリケジョが描かれているそうです(建築、医学、コンピューター関係などなど)。特に、Fの主人公の一人である西之園萌絵は、シリーズを重ねるごとに、大学生→修士課程→博士課程→講師と成長します。こんな風にステップアップしていくんだというリケジョのロールモデルとしてみることもできるのそうです。

 

 

最後にご紹介するのが、鈴木さんです。生命環境学群生物学類の4年生です。鈴木さんは、将来、日本ではまだ馴染みのあまりない「遺伝カウンセラー」になることを目指しています。

そもそも、高校では新聞部だったそうで、自分がまさか生物系に進むとはと思っても見なかったそうです。新聞部では、校内ニュース以外にも、先輩を訪ねるという企画もあり、その中で、理系の大学教員になっている先輩の話などを聞く機会も多く、それを繰り返すうちに、理系もおもしろいかもと思ったそうです。

そういうこともあり、学校の文系理系選択のときには、新聞記者か研究者かでずいぶんと迷ったそうです。「文理選択で迷う」っていうのは、最初の人生の岐路に立つって感じの時ですよね。中高生のお悩みでも多いです。鈴木さんもその一人だったのです。

その時に、図書館の司書の先生に、「イブの七人の娘たち」という本を薦められたそうで、その本を読んで、新聞と同じように、研究も物事を探求して一つ一つの事実を積み重ねて分析していくというのは理系でも同じだと感じ、また、「遺伝」についても興味が沸いてきたそうです。それで生物系に進まれたのです。その本を読んで以来、その遺伝、特に人間の遺伝子疾患をやりたいと思って、今日「遺伝カウンセラー」を目指すに至っているそうです。

 

イヴの七人の娘たち ブライアン サイクス (著)  大野 晶子 (翻訳) (ソニーマガジンズ)
イヴの七人の娘たち ブライアン サイクス (著)  大野 晶子 (翻訳) (ソニーマガジンズ)

また、鈴木さんは、サイエンスカフェの運営にも携わっていらっしゃいます。一つのテーマを兼ねて専門家をお呼びして話し合う会だそうで、一般の人にも参加してもらって、科学が身近で楽しいことを実感してもらいたいと、鈴木さん自身は、それが伝えられるような架け橋になりたいと思っているそうです。こういう姿勢は、遺伝カウンセラーになりたいというところと共通しています。遺伝カウンセラーとして、例えば、がん家系で極端に心配している人や、障害児のお母さんが個人攻撃されたりするのを助けたい、遺伝の難しい世界のことをベーシックなところを共有できるように翻訳して、それをベースによりよく生きることを伝えたいそうです。

若いのにりっぱだな~と本当に関心してしまいました。純粋な研究者の生き方とは異なりますが、これも、りっぱなリケジョの一つの生き方ですよね。

鈴木さんのお勧め本は、もちろん「イヴの七人の娘たち」です。フィクションですが、科学者が、事実を物語り調に書いていった本なのでおもしろく読めるそうです。科学的事実のおもしろさもわかるそうですが、研究者のやり取りにもスポットが当っているので、研究は一人でなくてプロジェクトでやっていくんだということとか、プロセスを一つ一つ踏んで行って事実を導き出すものなんだということ、研究者の苦悩とか葛藤などもわかり、すごく魅力ある内容になっているそうです。生物ってどんな感じかなと悩んでいる人にお勧めしたいそうです。

 

TUKUBA SCIENCE 

http://tsukubascience.com/seibutsu/sourui_ga_sekai_wo_kaeru/

藻類が世界を変える(國分さんの先生のお話が載っています)

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2011年

5月

17日

理系女子の生き方  理系女子Books Café レポート その3

3/31に行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介する第三弾です。

今回ご紹介するのは山口さんです。山口さんは、この3月で生命環境科学研究科構造生物科学専攻の博士課程を終えられて、4月より国立環境研究所で研究をさ れています。山口さんの専門は植物系統分類学で、微細藻類の新種に名前をつける研究、ハテナと呼ばれる動物から植物になる単細胞生物の研究などをされてい ます。山口さんは学長賞を取られるような優秀な方です

そして、山口さんは、筋金入りの「藻ガール」です(藻ガールと私、勝手にネーミングさせていだたきました!)。藻一筋で、ご研究されています。ご本人曰く、才能のない自分が研究者としてやっていくには、あまり研究されていない分野を研究すべきだと思ったから、、とおっしゃってましたが、、、。

 

藻類の研究を始めたのは高校時代の生物部時代からで、「ヒカリモ」と呼ばれる藻類が高校近くに生息していたため、それを研究テーマとしたところから始まります。生物部には、遠距離通学のため運動部を断念したこと、塾の先生のお兄さんが顧問をされていたといったきっかけで入部されたそうです。その生物部の入部のおかげで、今日の山口さん、藻ガールがあるんですよね。人生何があるかわかりません。

 

高校時代から研究熱心だった山口さんは、その研究で日本学生科学賞の文部大臣賞を取り、日本代表としてアメリカの国際学生科学フェアに出場されました。その時に、自分が立てた仮説が実験によって証明される快感や、他の人に自分の研究をプレゼンテーションする面白さを感じ、大学でも生物学を志すこととなったのです。

 

筑波大学にもAC入試(自己推薦入試)で、藻類の系統分類で有名な井上先生に学びたいと熱望して入学されたそうです。そして、その後も「藻ガール」として研究を続けられ、3月に博士課程を修了されました。環境研究所でも藻類の研究を続けられるそうです。

さらに、山口さんは研究をいろんな人々に伝えることにも興味があるそうで、国際学生科学フェアに一緒に参加された仲間がサイエンス系のNPO「日本サイエンスサービス」を運営していることもあり、科学博物館などで自由研究のイベントなどの手伝いをされていたそうです。

ちなみに、山口さんもご結婚をされており、だんな様は大学の研究室の先生です。

 

そして、山口さんのお勧め本は「藻類30億年の自然史ー藻類からみる生物進化・地球・環境」です。でた~~、やっぱり藻類だ。

教科書で習うのは、植物でも動物でも多細胞生物ばかりですが、しかし、水の中をみると、もっと多種多様な生物がいて未知の生物の宝庫だそうです。藻類を知りたい人にはこれがお勧め!、というか、実際に、藻類について書いてある本はこれしかないそうです。かなり専門的なことも書かれていますが、砕けた文章なので読みやすいです、との「藻ガール」のお墨付きです。また、著者の井上勲先生(山口さんの指導教官)の人となりも分かる本だそうです。

 

私、この本を不覚にも「マニアック本」と言ってしまい、山口さんから「マニアックですか??」と切り返される場面も。ごめんなさいね。でも、、、やっぱり、この本、マニアックだと思うんですが、、、。

藻類30億年の自然史ー藻類からみる生物進化・地球・環境 

井上勲 (著)(東海大学出版会)

前回ご紹介した島田さんも、山口さんも、だんなさんは同業者ですが、この辺りについて聞いてみました。

 

島田さんの場合には、ご主人と一緒に研究されています。「家庭も研究も同じというのはどうなんですか」とお伺いしたところ、最初は島田さんが1人でアメリカで仕事と赤ちゃんのお世話をしていたのだそうですが、両立が難しく研究が思うように進められなかったそうです。そこで、夫婦2人で子育てと研究の両方に協力体制を敷くことで効率化を図ったとのこと。例えば子どもが急病の時は、一人が自宅で子供の看病しつつデスクワークを担当、もう一方が研究室に行って二人分の実験をする、という風に柔軟に対応することで、お互いをサポートし合いながら研究できるのがすごくいい形になっているそうです。島田さんが毎年1週間ほど海外出張する時には、ご主人が1人で全ての家事も育児もされるそうです。

実に、夫婦でワークもプライベートも協力し合うライフというのは、すばらしくないですか~。島田さん曰く「自分の生き方に合った人を伴侶に選ぶことが大事。夫婦それぞれで独立した世界を持っていたいという人もいるかとは思うが、私たちは一緒にやっていく形でうまくいっている」とのことです。すばらしいです~。リケジョを目指すあなたはどっちのタイプですか?

 

山口さんご夫婦は、お互いに生き物好きということもあり、料理をしながら野菜(=植物?!)の維管束構造とか、お花見しつつバラ科(桜)の花弁が何枚といった生物談義をされているそうです。一緒に水族館や植物園に行ったり、図鑑が出版されればすぐに購入したりと、生き物好きのカップルとしてとても楽しく生活されていることがわかりました。共通の興味を持った研究者同士の楽しさというのがあるのかもしれません。

お二人ともご夫婦揃って研究者ということもあり、夫婦で研究に対するディスカッションをしていると、まわりが夫婦喧嘩と勘違いしてさ~っと引くという場面があるそうです。お二人曰く、あくまでもそれは、喧嘩ではなくて「ディスカッション」だそうで、そして、それが後に引くことはないんですか?と聞いたところ、「ありません、ディスかションですから」ときっぱり! 感情に流されないこの潔さ、論理的思考、、、リケジョですよね~。

 

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2011年

5月

02日

理系女子の生き方  理系女子Books Café@つくば レポート その2

前回に引き続き、3/31に行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介します。

 

次にご紹介するのは、筑波大学生命環境科学研究科でポスドクをしてらっしゃる島田さんです。島田さんは、日本学術振興会の特別研究員 SPD(スーパーポスドク)です。SPDは、化学、生物、工学、数物系科学、農学、医歯薬学、人文学、社会科学などの各分野で年間数名ずつしか採用されない超難関のポジションです。島田さんは生物学の分野で、ステロイドホルモンの合成に関わる遺伝子の解析をされています。

 

島田さんは京都大学の理学部のご出身で、京都大学大学院生命科学研究科で博士課程を修了後、同研究室の先輩と結婚し、夫婦で米国イエール大学に留学されました。その後、だんなさんが、筑波大学の助教になられたので、家族で一緒に住めるようにと日本で職を探した結果、SPD としてだんなさんと同じ大学で研究をすることになったそうです。

 

そんな島田さん、自分の今までについて「自分はいろんなバックグランドがあるわけでなく、なんとなくここに来てしまっていて、自分が本当に研究に向いてい る かどうかわからない」とのたまひます(え~、どう考えても向いてるに決まっているじゃんと思った私。。。)。それはどうしてかというと、自分は向いている と思ってやっていると、「できて当然」になってしまうので研究の壁にぶちあたった時にすごく辛くなるのだそうです。だから、自分には向いてないと思ってい た方がもっと努力しなければいけないと自戒できるし、努力が実ることがすごくすごくうれしいのだそうです。すごい!このポジティブさ、思考力!これぞ、リ ケジョ魂。

 

島田さんが、理系を目指すきっかけになったのは、「ソロモン指輪」と「からだの設計図」「生物学個人授業」という本です。子供の頃から生き物全般が好きだっ たそうで、小学校の時に「ソロモン指輪」という本をご両親から買ってもらいます。それを読んで、ひよこの後追いなど動物の行動を観察する学問があるという のがおもしろいと思ったそうです。そして、高校の時に、雑誌で連載されていた「生物学個人授業」を読んで、生き物の行動や形の全てが遺伝プログラムに支配 されているということに深い感銘を受けました。島田さんが京都大学を入学された時には、著者の岡田節人教授は既に退官されていましたが、その後継の竹市雅 俊教授の研究室に入られて、高校時代に興味を持ったことをそのまま追究する形で研究の世界に突入しました。その後、岡田先生にお会いすることができて思い 出の本にサインまでいただいたそうです。高校時代に出会った本が、現在島田さんが研究を続ける上での大きな励みになっています。

 

ですから、もちろん、島田さんのお勧め本は、「ソロモン指輪」「からだの設計図」「生物学個人授業」です。「ソロモンの指輪」は、ノーベル賞学者であるコンラート・ローレンツ著作で、動物行動学のおもしろさがわかります。

一方、「からだの設計図」「生物学個人授業」は日本の発生学のカリスマ・岡田節人著作で動物発生学の入門書です。特に、生物学個人授業は、雑誌シンラのコラ ムをまとめたもので、中高生でも分かりやすく楽しく読むことができます。島田さんが感動したのは、生き物のからだが三次元的にくみ上げられるパターンの緻 密さ、例えば5本指の順番とか目と鼻の位置関係とか、私たちが普段当たり前に思っている生き物のかたちのすべてが遺伝子によってプログラムされているとい うことです。また、一見かたちが全然違ういろんな動物において共通の発生メカニズムが存在することがすごい!のだそうです。

生き物好きな方、生命の神秘を知りたい方、どうでしょうか。

 

TUKUBASCIENCEのサイトに島田さんの研究の一端が紹介されています

(すごくきれいで神秘的な科学の世界を感じることができます)

http://tsukubascience.com/seibutsu/shoujoubainouchu/

 

   「ソロモンの指環」

     コンラートローレンツ(著) 早川書房      

 

      

 

     お勧めポイント!

 

  「生物学個人授業」岡田節人(著)(新潮社)

(その3に続きます!)

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2011年

4月

14日

理系女子の生き方  理系女子Books Café@つくば レポート その1

今日は、3月31日に、つくばで行なわれた理系女子Books Cafeについて、ご報告します。

 

Books Caféは、先輩リケジョの皆さんから、中高生の皆さんにお勧めする本をご紹介していただくものなのですが、参加された先輩リケジョの方の「どうして今の専攻を選んだのか」「女性が仕事としての研究職をするって?」「同業者のだんなさんって??」といった、理系女子としての生き方のお話の方が、盛り上がってしまったので(^_^;)、ここでは、それを中心にレポートします。

 

みなさん前からのお知り合いだったのですが、今まで、改めてこのような話をしたことがなかったそうで、今回「すごく楽しかった」「参考になった」という感想を頂きました。やっぱり、理系女子Café開催する意味ってすごくあると思います。小さくてもいいので、全国様々な場所で開催して行きたいと思います。





では、お一人お一人、先輩リケジョとしての生き方をご紹介したいと思います。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今回のCaféに参加してくださったのは、筑波大学の生命環境学研究科または学類で生物関係の研究をされている4名と、サイエンスコミュニケーターの尾嶋さんの5名です。

 

まずはじめに、本日のCaféのコーディネーターをしてくださった尾嶋さんをご紹介します。

 

尾嶋さんは、現在、筑波大学のサイエンスコミュニケーターとして、BSリーグ(http://mirai.biol.tsukuba.ac.jp/ 小学校5年生から中学2年生までで、将来生物学者になりたい子にエリート教育をするというもの)関係のお仕事をされたり、個人的に家庭科学の本などの執筆活動をしていらっしゃいます。また、二人のお子さんのママでもいらっしゃいます。

元々は、北海道大学の畜産学科のご出身です。北大を目指した大きな理由は、当時、東京の名門女子高校生だったのですが、とにかく親元を離れたいその一心だそうです(!)。「動物のお医者さん」の影響もあり、北の大地への憧れもあったそうです。

北大では食品化学で修士を修了されましたが、その時に、自分は研究職は向いていないと思ったことと、結婚が決まっていたこともあり、研究職的な仕事にはつかず、某塾の塾講師&受験生のクラス担任をしていました。そして、ご主人の留学が決定後、ご主人について渡米されました。

しかし、単にそこで、ご主人にアメリカについて行っただけじゃないところが、尾嶋さんで、その時に、「修士」の肩書きでは食べていけないからと、難関の米国会計士の資格を取ったのです。一時は、アメリカの不動産業界でバリバリのビジネスウーマンとして働いていらっしゃったそうです。北大の畜産からビジネスウーマンへ。。。これリケジョも生き方の一つですよね。

しかし、やはりそれは自分のやりたいことではないと思い、ご主人と帰国されたこともあり、サイエンスプラス(http://www.scienceplus.co.jp/という会社を起業されました。その時にも、必要だろうと中小企業診断士の資格も取っているんですよ。このファイトと、状況に応じた進路選択、、、これもリケジョ魂ですよね~。

そのうちお子さんも生まれましたが、子育てをしながら、さらに執筆活動にも挑戦されました。著書に「家族で楽しむおもしろ科学実験」 http://tinyurl.com/5t7bawがあります。これは、ママ目線で書かれたお料理しながら科学が学べる本です。子育て中にも、新しい挑戦されたんですね~

そして、ご主人が筑波に転勤になり(ご主人は研究者です)、筑波に引越しされることになりました。ちょうどその時に、筑波大学で「生物学オリンピック」を開催することになっていたのですが、前々からそれに携わりたいと思っていた尾嶋さんは募集もないのに、直談判して、事務職担当者として採用してもらったそうです。やがて、尾嶋さんの能力と器は、事務補佐員ではないだろうということになり、生物学類長が大学本部に掛け合ってくれてサイエンスコミュニケーターという今の職種を作ってくれたということなのです。す、すごい! 

自分の人生を、夫の転勤、子育てと周りの環境に合わせつつも、その時にやれること、やりたいことを一生懸命にやり、自分で道を切り拓く、、、これぞ、まさにリケジョ魂です。

理系女子といっても、こんな風にも生きられる、そして、人生は計画通りには行かないこともあるのだから、尾嶋さんみたいに柔軟に生きて行くことも大事だということ、いくらでも進路変更できるということを、進路選択とかに悩んでいる中高生の皆さんにも知ってもらいたいです。

これからは、筑波大学で女性研究者支援にも携わっていきたいそうです。筑波大学は、女子学生は多いのですが、女性の先生が少ないそうで、そういった意味からもサポートして行きたいそうです。

 

そんな尾嶋さんのお勧め本は、「戸塚教授の科学入門」と「群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法」です。

「戸塚教授の科学入門」は、原発云々といっている今だから読んでほしいだそうです。戸塚先生は、元高エネルギー研究所の所長さんで、物理が苦手な人にもわかりやすく、物理を解説してくださっています。これを読むとなぜ原子力かといったことも、科学的な観点では納得できるそうです。

 

←戸塚教授の「科学入門」E=mc2 は美しい! 戸塚 洋二(著)(講談社)

 

 

 

 

←お勧めポイント!(尾嶋さん直筆です!)

「群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法」は、女子中高生というのは、周りを気にして人間関係に疲れたりしやすいので、これをお勧めするそうです。これを読むと「なぜ周りを気にするのか」ということを科学的に理解できるそうで、人間だって群れで生きているかな~と納得できるそうです。

 

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法

ピーター・ミラー著 土方 奈美翻訳(東洋経済新報社)

 

レポートその2に続きます!

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Rikejoは、リケジョ(=理系女子)を応援するプロジェクトです。先輩リケジョから中高生たちへおススメの本を伝えたい!先輩同士でも本について盛り上がりたい!ということで理系女子の100冊サイト、スタートしました!

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2013年 3月4日

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