理系女子の生き方  理系女子Books Café@つくば レポート その4

筑波で行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介する第4弾です。今回は、学生さんのお二人をご紹介します。

 

4人目は、國分さんです。國分さんは、生命環境科学研究科生命共存科学専攻のD1(博士課程1年生)で、ご専門は環境藻類学。バイオ燃料産生に向けて、主にオイルを産生する藻類を対象として研究されています。原発問題もあり、我が国のエネルギー問題については議論されているところでありますが、最近、注目されている研究分野だそうです。

國分さんも、東京の某名門女子校の出身で、大学はエスカレーター式に系列大学に進みましたが、どうしても研究が続けたいということと、親元を離れてみたい!という東京に実家のある女子の共通の願い(?)もあって筑波大学の大学院に進学されたそうです。

もともと、生き物は好きで漠然と生物やってもいいかもくらいには思っていたそうですが、中学生高校生から絶対にリケジョに!といったつもりはあまりなかったそうです。ただ、高校の生物授業の「実験」で、生物のおもしろさ、不思議さを知り、また、特に実験を指導している先生ご自身が楽しそうに生き生きとしてらっしゃるのを見て、先生をそうさせる「生物」という学問をもっと知りたくなり、その方向に進学することにしたのです。ここが一つのリケジョポイントですね。学校の先生の授業や実験がおもしろくて、その教科を専門にする。これも一つの出会い方ですよね。

しかし、その時は、動物系をやるつもりだったそうで、藻類をやるとは夢にもおもっていなかったそうです。「藻」との出会いは、大学での実験だそうです。ミカヅキモの実験だったそうですが、それがすごくおもしろくて、、、動物のことを忘れて、卒業研究は絶対にこれをやりたい!と思い、最終的には「藻」の研究を目指すこととなったそうです。まさに一期一会だとおっしゃっていました。これが二つめのリケジョポイントですね。大学に入ってみたら、興味が変わる、、、こんなことも全然アリ!です。

すベてがFになる 森 博嗣 著 (講談社文庫)
すベてがFになる 森 博嗣 著 (講談社文庫)

博士課程進学に当っては、お母さんの大反対があったそうです。修士までは行くべきと応援してくれていたそうですが、博士となると、國分さんは特に一人っ子なので、頼るものはないし、親は先に死ぬんだから、自分が得るものがないと将来が心配、と反対されたそうです(前回ご紹介した山口さんも、実学でないものを学ぶことに対して、親の理解を得るのが難しかったとおっしゃっていました)。國分さんは、全くその通りだとは思ったそうですが、納得がいかないまま就職してもその仕事が好きになれないし、これは自分の人生だから、自分が後悔しない様にしたいと思い、お母さんを説得し続けました。最終的には、中高の教育免許を持っているので、どうしてもだめなら教員になるということにして、説得に成功されたそうです。う~ん、この信念の強さ、、、これもリケジョ魂ですよね。実際に、4月からは高校で非常勤として教壇にも立つそうです。親を安心させつつ、、、一方で、やはり自分が生物に進むきっかけが、高校の先生との

                      出会いだったので、それを自分も今の高校生に伝えたい
                      という思いもあるそうです。

そんな國分さんのお勧め本は、「すベてがFになる」です。ミステリーなのですが、犀川助教授を中心とした物語であるため、國分さんが、大学の研究室について初めて知った本だそうです。院生室でこのような話をしているとか、夜中ずっと引きこもって研究しているとかがわかり、大学の研究室のイメージがこの本でわかったそうです。森博嗣は某国立大学の工学部の助教授だったこともあり、エッセイなどもおもしろくお勧めだそうです。

また、森博嗣の作品には、様々な分野の魅力的なリケジョが描かれているそうです(建築、医学、コンピューター関係などなど)。特に、Fの主人公の一人である西之園萌絵は、シリーズを重ねるごとに、大学生→修士課程→博士課程→講師と成長します。こんな風にステップアップしていくんだというリケジョのロールモデルとしてみることもできるのそうです。

 

 

最後にご紹介するのが、鈴木さんです。生命環境学群生物学類の4年生です。鈴木さんは、将来、日本ではまだ馴染みのあまりない「遺伝カウンセラー」になることを目指しています。

そもそも、高校では新聞部だったそうで、自分がまさか生物系に進むとはと思っても見なかったそうです。新聞部では、校内ニュース以外にも、先輩を訪ねるという企画もあり、その中で、理系の大学教員になっている先輩の話などを聞く機会も多く、それを繰り返すうちに、理系もおもしろいかもと思ったそうです。

そういうこともあり、学校の文系理系選択のときには、新聞記者か研究者かでずいぶんと迷ったそうです。「文理選択で迷う」っていうのは、最初の人生の岐路に立つって感じの時ですよね。中高生のお悩みでも多いです。鈴木さんもその一人だったのです。

その時に、図書館の司書の先生に、「イブの七人の娘たち」という本を薦められたそうで、その本を読んで、新聞と同じように、研究も物事を探求して一つ一つの事実を積み重ねて分析していくというのは理系でも同じだと感じ、また、「遺伝」についても興味が沸いてきたそうです。それで生物系に進まれたのです。その本を読んで以来、その遺伝、特に人間の遺伝子疾患をやりたいと思って、今日「遺伝カウンセラー」を目指すに至っているそうです。

 

イヴの七人の娘たち ブライアン サイクス (著)  大野 晶子 (翻訳) (ソニーマガジンズ)
イヴの七人の娘たち ブライアン サイクス (著)  大野 晶子 (翻訳) (ソニーマガジンズ)

また、鈴木さんは、サイエンスカフェの運営にも携わっていらっしゃいます。一つのテーマを兼ねて専門家をお呼びして話し合う会だそうで、一般の人にも参加してもらって、科学が身近で楽しいことを実感してもらいたいと、鈴木さん自身は、それが伝えられるような架け橋になりたいと思っているそうです。こういう姿勢は、遺伝カウンセラーになりたいというところと共通しています。遺伝カウンセラーとして、例えば、がん家系で極端に心配している人や、障害児のお母さんが個人攻撃されたりするのを助けたい、遺伝の難しい世界のことをベーシックなところを共有できるように翻訳して、それをベースによりよく生きることを伝えたいそうです。

若いのにりっぱだな~と本当に関心してしまいました。純粋な研究者の生き方とは異なりますが、これも、りっぱなリケジョの一つの生き方ですよね。

鈴木さんのお勧め本は、もちろん「イヴの七人の娘たち」です。フィクションですが、科学者が、事実を物語り調に書いていった本なのでおもしろく読めるそうです。科学的事実のおもしろさもわかるそうですが、研究者のやり取りにもスポットが当っているので、研究は一人でなくてプロジェクトでやっていくんだということとか、プロセスを一つ一つ踏んで行って事実を導き出すものなんだということ、研究者の苦悩とか葛藤などもわかり、すごく魅力ある内容になっているそうです。生物ってどんな感じかなと悩んでいる人にお勧めしたいそうです。

 

TUKUBA SCIENCE 

http://tsukubascience.com/seibutsu/sourui_ga_sekai_wo_kaeru/

藻類が世界を変える(國分さんの先生のお話が載っています)

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コメント: 1
  • #1

    Shayne (日曜日, 22 7月 2012 10:57)

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