理系女子の生き方  理系女子Books Café レポート その3

3/31に行なわれた理系女子Books Caféの参加者の皆さんの理系女子的生き方をご紹介する第三弾です。

今回ご紹介するのは山口さんです。山口さんは、この3月で生命環境科学研究科構造生物科学専攻の博士課程を終えられて、4月より国立環境研究所で研究をさ れています。山口さんの専門は植物系統分類学で、微細藻類の新種に名前をつける研究、ハテナと呼ばれる動物から植物になる単細胞生物の研究などをされてい ます。山口さんは学長賞を取られるような優秀な方です

そして、山口さんは、筋金入りの「藻ガール」です(藻ガールと私、勝手にネーミングさせていだたきました!)。藻一筋で、ご研究されています。ご本人曰く、才能のない自分が研究者としてやっていくには、あまり研究されていない分野を研究すべきだと思ったから、、とおっしゃってましたが、、、。

 

藻類の研究を始めたのは高校時代の生物部時代からで、「ヒカリモ」と呼ばれる藻類が高校近くに生息していたため、それを研究テーマとしたところから始まります。生物部には、遠距離通学のため運動部を断念したこと、塾の先生のお兄さんが顧問をされていたといったきっかけで入部されたそうです。その生物部の入部のおかげで、今日の山口さん、藻ガールがあるんですよね。人生何があるかわかりません。

 

高校時代から研究熱心だった山口さんは、その研究で日本学生科学賞の文部大臣賞を取り、日本代表としてアメリカの国際学生科学フェアに出場されました。その時に、自分が立てた仮説が実験によって証明される快感や、他の人に自分の研究をプレゼンテーションする面白さを感じ、大学でも生物学を志すこととなったのです。

 

筑波大学にもAC入試(自己推薦入試)で、藻類の系統分類で有名な井上先生に学びたいと熱望して入学されたそうです。そして、その後も「藻ガール」として研究を続けられ、3月に博士課程を修了されました。環境研究所でも藻類の研究を続けられるそうです。

さらに、山口さんは研究をいろんな人々に伝えることにも興味があるそうで、国際学生科学フェアに一緒に参加された仲間がサイエンス系のNPO「日本サイエンスサービス」を運営していることもあり、科学博物館などで自由研究のイベントなどの手伝いをされていたそうです。

ちなみに、山口さんもご結婚をされており、だんな様は大学の研究室の先生です。

 

そして、山口さんのお勧め本は「藻類30億年の自然史ー藻類からみる生物進化・地球・環境」です。でた~~、やっぱり藻類だ。

教科書で習うのは、植物でも動物でも多細胞生物ばかりですが、しかし、水の中をみると、もっと多種多様な生物がいて未知の生物の宝庫だそうです。藻類を知りたい人にはこれがお勧め!、というか、実際に、藻類について書いてある本はこれしかないそうです。かなり専門的なことも書かれていますが、砕けた文章なので読みやすいです、との「藻ガール」のお墨付きです。また、著者の井上勲先生(山口さんの指導教官)の人となりも分かる本だそうです。

 

私、この本を不覚にも「マニアック本」と言ってしまい、山口さんから「マニアックですか??」と切り返される場面も。ごめんなさいね。でも、、、やっぱり、この本、マニアックだと思うんですが、、、。

藻類30億年の自然史ー藻類からみる生物進化・地球・環境 

井上勲 (著)(東海大学出版会)

前回ご紹介した島田さんも、山口さんも、だんなさんは同業者ですが、この辺りについて聞いてみました。

 

島田さんの場合には、ご主人と一緒に研究されています。「家庭も研究も同じというのはどうなんですか」とお伺いしたところ、最初は島田さんが1人でアメリカで仕事と赤ちゃんのお世話をしていたのだそうですが、両立が難しく研究が思うように進められなかったそうです。そこで、夫婦2人で子育てと研究の両方に協力体制を敷くことで効率化を図ったとのこと。例えば子どもが急病の時は、一人が自宅で子供の看病しつつデスクワークを担当、もう一方が研究室に行って二人分の実験をする、という風に柔軟に対応することで、お互いをサポートし合いながら研究できるのがすごくいい形になっているそうです。島田さんが毎年1週間ほど海外出張する時には、ご主人が1人で全ての家事も育児もされるそうです。

実に、夫婦でワークもプライベートも協力し合うライフというのは、すばらしくないですか~。島田さん曰く「自分の生き方に合った人を伴侶に選ぶことが大事。夫婦それぞれで独立した世界を持っていたいという人もいるかとは思うが、私たちは一緒にやっていく形でうまくいっている」とのことです。すばらしいです~。リケジョを目指すあなたはどっちのタイプですか?

 

山口さんご夫婦は、お互いに生き物好きということもあり、料理をしながら野菜(=植物?!)の維管束構造とか、お花見しつつバラ科(桜)の花弁が何枚といった生物談義をされているそうです。一緒に水族館や植物園に行ったり、図鑑が出版されればすぐに購入したりと、生き物好きのカップルとしてとても楽しく生活されていることがわかりました。共通の興味を持った研究者同士の楽しさというのがあるのかもしれません。

お二人ともご夫婦揃って研究者ということもあり、夫婦で研究に対するディスカッションをしていると、まわりが夫婦喧嘩と勘違いしてさ~っと引くという場面があるそうです。お二人曰く、あくまでもそれは、喧嘩ではなくて「ディスカッション」だそうで、そして、それが後に引くことはないんですか?と聞いたところ、「ありません、ディスかションですから」ときっぱり! 感情に流されないこの潔さ、論理的思考、、、リケジョですよね~。

 

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2013年 3月4日

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